秩序破壊的・衝動制御・素行症
Disruptive, Impulse-Control, and Conduct Disorders
秩序破壊的・衝動制御・素行症(Disruptive, Impulse-Control, and Conduct Disorders)とは
秩序破壊的・衝動制御・素行症(Disruptive, Impulse-Control, and Conduct Disorders)は、衝動を抑える能力が大きく損なわれ、その結果として社会的な規範やルールに従えなくなる行動を特徴とする疾患群です。これらの疾患は、反抗的な態度や暴力的な行動、規則を破る行為などを含み、個人だけでなく周囲の人々にも影響を及ぼすことがあります。
これらの症状は子どもや青年期に発症することが多く、早期の診断と適切な治療が重要です。
主な疾患と特徴
- 反抗挑発症(Oppositional Defiant Disorder:ODD)
- 権威に対する反抗的態度(例:親や教師に反発する)。
- 怒りやイライラが頻繁に見られる。
- 他人を責めたり、攻撃的な言動を取る。
発症時期:主に学童期。
日常生活での影響:家庭や学校での関係が悪化することがあります。
- 間欠性爆発症(Intermittent Explosive Disorder:IED)
- 突発的な怒りの爆発(例:大声を出す、物を壊す)。
- 行為の衝動が強く、後悔や罪悪感を感じることも多い。
- 怒りの持続時間は短いが、繰り返し起こる。
発症時期:主に青年期や成人初期。
日常生活での影響:人間関係や仕事に支障をきたすことがある。
- 素行症(Conduct Disorder:CD)
- 他人を傷つける、物を破壊するなどの行動。
- 嘘をつく、盗みを働く、学校を無断で休むなど、社会的規範を無視する行為。
- 動物や人を虐待する行為が見られることもある。
発症時期:小児期または青年期。
日常生活での影響:法的問題や、将来の人格障害のリスクが高まる。
- その他の衝動制御障害
- 放火癖(Pyromania):火をつけることへの執着。
- 窃盗癖(Kleptomania):必要のないものを盗む行為。
発症の要因
- 生物学的要因:脳内の神経伝達物質(ドーパミン、セロトニン)の異常や前頭前野の機能低下が関連しています。
- 心理的要因:トラウマ体験、家庭内の不和や虐待。
- 環境的要因:貧困、社会的孤立、不適切な養育環境。
治療方法
- 心理療法
- 認知行動療法(CBT):衝動をコントロールし、適応的な行動を学ぶ。
- 家族療法:家庭内のコミュニケーションを改善し、支援体制を強化する。
- 薬物療法
- 抗うつ薬や抗不安薬が使用されることがあります。
- ADHDを併存している場合、注意欠如多動症の治療薬を併用することもあります。
- 環境的アプローチ
- 学校や職場でのサポート体制の強化。
- 社会スキルトレーニングを通じて適応力を高める。
日常生活での工夫
- 感情のコントロール:怒りを抑えるためのリラクゼーション法や呼吸法を学ぶ。
- サポートの活用:専門家やカウンセラー、家族の支援を受ける。
- 生活習慣の改善:規則正しい生活リズムや適度な運動を取り入れる。
まとめ
秩序破壊的・衝動制御・素行症は、衝動を制御できないことで日常生活に深刻な影響を与える疾患ですが、早期診断と治療によって改善が可能です。
「感情をコントロールできない」「社会生活で困難を感じる」といった場合は、専門医に相談し、適切な治療を受けましょう。
Supervising
監修医師
President Doctor
代表医師