物質関連症および嗜癖症
Substance-Related and Addictive Disorders
物質関連症および嗜癖症 (Substance-Related and Addictive Disorders) とは
物質関連症および嗜癖症(Substance-Related and Addictive Disorders) は、アルコールや薬物などの物質の使用が過剰になり、それに対する渇望や依存が日常生活に深刻な影響を与える一群の精神疾患です。俗にいう「アル中」や「ヘビースモーカー」などがまさにそうです。また、嗜癖症には、物質を使用しない行動の繰り返し(例:ギャンブル)によって生活のバランスが崩れる状態も含まれます。
物質関連症とは?
物質関連症は、アルコール、カフェイン、タバコ、違法薬物(例:覚醒剤、コカイン、大麻)などの物質が、過剰使用や依存によって以下のような影響を及ぼす状態を指します。
- 身体的依存:物質を摂取しないと禁断症状が現れる。
- 精神的依存:物質に対する強い渇望があり、摂取をやめられない。
- 社会的機能の低下:仕事、学校、家庭など日常生活における役割が果たせなくなる。
嗜癖症とは?
嗜癖症(Addictive Disorders)は、アルコールや薬物以外の行動に依存する症状を指します。DSM-5-TRでは、ギャンブル障害(Gambling Disorder) が正式な嗜癖症として分類されています。
- 行動の制御ができない。
- その行動に多大な時間やお金を費やす。
- 問題が生じても行動を繰り返す。
主な物質関連症と嗜癖症の種類
1. アルコール関連障害(Alcohol-Related Disorders)
- 特徴:飲酒量のコントロールができなくなる。
- 症状:
- 飲酒をやめようとしてもやめられない。
- 飲酒のために仕事や家庭での責任を果たせない。
- 飲酒を中断すると離脱症状(発汗、不安、震えなど)が現れる。
2. タバコ使用障害(Tobacco Use Disorder)
- 特徴:タバコを吸う頻度が増え、禁煙を試みても失敗する。
- 症状:
- 強いニコチン依存。
- 禁煙時の離脱症状(イライラ、不安、集中力の低下など)。
3. 薬物使用障害(Substance Use Disorders)
- 種類:覚醒剤、コカイン、大麻、オピオイドなど。
- 特徴:
- 違法薬物または処方薬を過剰に使用する。
- 物質の摂取を中心に生活が回る。
4. ギャンブル障害(Gambling Disorder)
- 特徴:
- 金銭を失ってもギャンブルを続ける。
- 金銭的な損失を取り戻そうとしてさらにギャンブルを繰り返す。
- 借金や人間関係の破綻を招く。
発症の要因
- 生物学的要因:脳の報酬系(ドーパミン経路)の異常が依存症に関連。
- 心理的要因:ストレス、不安、抑うつなどからの逃避。
- 環境的要因:家庭環境、交友関係、社会的な孤立。
治療方法
1. 薬物療法
- アルコール依存症:断酒を補助する薬(例:ジスルフィラム、アカンプロサート)。
- 薬物依存症:代替療法(例:メサドン治療、ブプレノルフィン)や抗 craving薬。
- タバコ依存症:ニコチン代替療法(パッチ、ガムなど)や禁煙補助薬。
2. 心理療法
- 認知行動療法(CBT):依存行動の引き金を理解し、適切な対処法を学ぶ。
- 動機づけ面接法:患者の変わりたいという意欲を引き出し、治療の継続を促す。
- 集団療法:同じ問題を抱える人々とのサポートグループ(例:アルコホーリクス・アノニマス)。
3. リハビリテーションと社会的支援
- 依存症専門のリハビリ施設での治療。
- 家族療法や職場復帰支援。
日常生活での工夫
- ストレスマネジメント:適度な運動や趣味、リラクゼーションを取り入れる。
- トリガーを避ける:飲酒やギャンブルを誘発する環境や人間関係を避ける。
- 周囲の理解と支援:家族や友人の協力が回復の鍵となる。
まとめ
物質関連症および嗜癖症は、適切な治療とサポートによって回復が可能です。問題を自覚した時点で専門医に相談することで、健康で安定した生活を取り戻すことができます。
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監修医師
President Doctor
代表医師