統合失調スペクトラム症および他の精神症
Schizophrenia Spectrum and Other Psychotic Disorders
統合失調スペクトラム症(Schizophrenia Spectrum)とは
統合失調スペクトラム症および他の精神症は、現実と非現実の区別が難しくなり、思考や認知、感情、行動に深刻な影響が及ぶ一群の精神疾患です。多くは思春期以降に発症し、徐々に症状が目立つようになります。
おおよそ100人に1人の割合で見られ、男女差はほとんどありません。
主な症状
思考や発話の障害
- 会話のまとまりがなくなる:話が脱線し、会話のキャッチボールが難しくなる。
- 非現実的な主張:「自分は見られている」「何者かに考えを抜き取られている」「自分は高貴な存在だ」など現実離れした内容を強く主張します。
- 被害的な発言:「周囲の人が自分を監視している」「陰謀に巻き込まれている」と言い、訂正が困難になる。
幻覚や妄想
- 幻聴:「死ね」「バカ」など、本人を中傷する声が聞こえ、その声と会話するかのように独り言をつぶやく。時には、けんかしているように乱暴な言葉を発することもあります。
- 幻視:実際には存在しない人や物が見えると訴える。
行動の異常
- 奇異な動作:目的が不明な動作や、落ち着きのない行動が見られる。
- 攻撃性や興奮:突然怒り出し、周囲に対して攻撃的な態度をとることもあります。
感情や興味の欠如
- 喜びを感じない:趣味や娯楽(読書やテレビ)を楽しむことがなくなる。
- 社会的孤立:家族や友人との交流を断ち、学校や仕事に行かず、閉じこもる。
生活習慣の乱れ
- 昼夜逆転:昼間に寝て、夜中に起きるような生活になります。
- 食事の偏り:同じものしか食べなくなったり、「毒が入っている」と疑い、包装された食品しか口にしないこともあります。
- 不潔な身だしなみ:入浴や着替えを拒否し、髪や爪を手入れせず、不潔な状態が続く。
- 季節に合わない服装:暑い日にセーターやオーバーを着たり、寒い日にTシャツや短パンで過ごすこともあります。
- だらしない生活習慣:多量の飲酒や喫煙を制止されても続けることがあります。
統合失調症の経過と日常生活への影響
統合失調症は、初期段階では「違和感」程度の症状から始まり、次第に深刻化します。
- 思春期:発症が多い時期で、学校の成績低下や友人関係の疎遠化が見られます。
- 成人期:社会生活や職業生活が維持できなくなり、孤立しやすくなります。
初期症状が現れた時点で早期に受診することで、症状の悪化を防ぎ、社会復帰の可能性が高まります。
統合失調症の有病率と発症要因
- 有病率:おおよそ100人に1人が統合失調症を発症します。
- 発症年齢:男性は10代後半から20代前半、女性は20代後半から30代が多いです。
- 原因:遺伝要因、脳機能の異常、環境要因(幼少期のストレス、薬物使用、生活環境)などが複雑に関与しています。
治療方法
薬物療法
抗精神病薬:幻覚や妄想を抑え、症状を安定させます。治療の基本となります。
心理社会的療法
- 認知行動療法(CBT):症状に対処するための考え方や行動を身につけます。
- 家族療法:家族が症状や治療について理解し、サポート体制を強化します。
生活習慣の改善
- 生活リズムの安定化:昼夜逆転の生活や不規則な食生活を改善します。
- 社会復帰支援:職業訓練や地域活動を通じて、自立を目指します。
精神科受診の重要性
統合失調症は早期発見・早期治療が極めて重要です。発症初期に適切な治療を開始すれば、症状をコントロールし、社会生活を維持することが可能です。
「何かおかしい」と感じたら、迷わず精神科を受診してください。専門医の診断と支援が、症状の悪化を防ぐ第一歩です。
まとめ
統合失調スペクトラム症は、現実離れした妄想や幻覚、日常生活の崩壊を特徴とする疾患ですが、正しい理解と早期治療によって症状の改善が見込めます。
- 早期診断と継続的な治療が大切です。
- 家族や社会の理解が、患者さんの回復を支えます。
「おかしいな」と思ったら、専門医の力を借りる勇気を持ちましょう。適切なサポートがあれば、安定した日常生活を取り戻すことは十分可能です。
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