成人発症スチル病
Adult-Onset Still's Disease, AOSD
成人発症スチル病(Adult-Onset Still's Disease, AOSD)とは
成人発症スチル病(AOSD)は、全身に炎症を引き起こす自己炎症性疾患です。高熱、関節炎、皮疹を特徴とし、原因は不明ですが、自己免疫系の異常が関連していると考えられています。この疾患は希少であり、診断と治療に専門的な対応が必要です。
特徴的な症状
AOSDの主な症状は以下の通りです:
- 発熱: 38℃以上の高熱が数週間続く。
- 皮疹: 特に体幹に現れるサーモンピンク色の発疹。
- 関節炎: 手や膝、足首などに痛みと腫れ。
- 全身症状: 倦怠感、体重減少。
- リンパ節腫脹: リンパ節が腫れることがあります。
- 肝臓や脾臓の腫大: 臓器の炎症が影響を及ぼす。
原因と病態
AOSDの原因は完全には解明されていませんが、免疫系が過剰に活性化し、炎症性サイトカイン(IL-1、IL-6、TNF-α)が大量に産生されることが病態の中心です。遺伝的素因やウイルス感染が誘因となる可能性があります。
診断方法
AOSDの診断は症状と検査結果を総合的に評価して行われます:
- 血液検査: 炎症マーカー(CRP、フェリチン)の著しい上昇。
- 自己抗体検査: 他の自己免疫疾患を除外するために行います。
- 画像検査: 関節炎や内臓の炎症を確認するための超音波やCT。
- 診断基準: ヤマグチ基準などの国際的な診断基準を使用。
治療方法
AOSDの治療は、炎症を制御し症状を緩和することを目的とします:
- ステロイド療法: 高用量のプレドニゾロンで急性炎症を抑制。
- 免疫抑制薬: メトトレキサートやアザチオプリンを併用。
- 生物学的製剤: IL-1やIL-6阻害薬が有効な場合があります。
- 対症療法: 解熱剤や鎮痛薬の使用。
疫学と予後
AOSDは稀な疾患で、年間10万人あたり約0.2~0.4人が発症すると推定されています。特に若年から中年の成人に多く見られます。治療により症状をコントロールできますが、重症例では臓器障害や慢性化のリスクがあります。