AGAとは?薄毛を招く主な原因と対策する際に知っておくべきこと
2025.07.22
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「最近、抜け毛が増えた…」「生え際や頭頂部が薄くなってきたかも…」。もしそう感じているなら、それは「AGA(男性型脱毛症)」のサインかもしれません。
薄毛を改善したい場合は、自己流の対策に頼るよりも、専門の医療機関での治療を受けることがもっとも効果的な方法です。
この記事では、AGAとは何かから、その原因、進行パターンや年代による違い、自分でできるAGA対策とその限界、そして唯一根本改善が期待できる医療機関での治療までを順を追って解説します。
正しい知識を得て、薄毛の悩みから解放される第一歩を踏み出しましょう。

株式会社Medi Face代表取締役 / 医師
近澤 徹
AI×メンタルを基盤としたMedi Faceを創業し、精神科・産業医として企業の健康経営にも携わる。
さらに、弁護士とLegal Doctorを共同創業。美容医療においても臨床の最前線に立ち続けている。
・株式会社Medi Face 代表取締役医師
・北海道大学医学部医学科 卒業
・慶應義塾大学病院 入職
・名古屋市立大学病院 客員研究員
・株式会社Legal Doctor 創業
・FRAISE CLINIC 統括医師
・日比谷セントラルクリニック 副院長
・日本医師会認定産業医
・日韓美容医学学会 常任理事
AGA(男性型脱毛症)とは一体なに?
AGAは、男性に多く見られる脱毛の一種で、頭頂部や生え際から髪が少しずつ薄くなっていく進行性の症状です。
自然に治ることはほとんどなく、時間の経過とともに脱毛範囲が広がるため、早期に正しい対策を始めることが大切です。
ここでは、AGAの代表的な特徴や原因、円形脱毛症との違いを順に解説していきます。
AGAの特徴
AGA(Androgenetic Alopeciaの略称)とは、男性ホルモンの影響でヘアサイクルが乱れ、徐々に薄毛が進行する「男性型脱毛症」のことを指します。
AGAの主な症状には、抜け毛が増えて前髪の生え際や頭頂部の毛髪が薄くなり、地肌が透けて見えてしまう、細く柔らかい毛髪の割合が増えて髪全体のボリュームが減る、頭皮が脂っぽくなり髪がセットしづらくなる、などがあります。
また、AGAは発症する年齢によって名前が異なります。
- 20代までに薄毛の症状が現れる場合 → 若年性脱毛症
- 30~40代で薄毛の症状が現れる場合 → 壮年性脱毛症
これら2つの脱毛症を総称して、AGA(男性型脱毛症)と呼びます。
60代を超えると、体毛が薄くなる「老人性脱毛症」を発症します。
老人性脱毛症は性別を問わず発症するため、男性の頭髪が薄くなるAGAとは異なる脱毛症ですが、AGAと併発する方も多くいます。
AGAを発症している男性の割合
日本人男性の3人に1人が、生涯のうちにAGAを発症すると言われています。
日本皮膚科学会によると、AGAを発症する男性の年代別の割合は以下とされています。
- 20代 約10%
- 30代 約20%
- 40代 約30%
- 50代以降 約40%
脱毛症診療ガイドラインは、日本皮膚科学会によって治療の方針と治療法の推奨度を示したもの。
国内の薄毛治療において多くのクリニックや病院が参考にしている指針。

つまり、30代には日本人男性の5人に1人が薄毛になっている可能性が高いのです。
AGAは一度発症すると進行し続ける皮膚の疾患
AGAは一度発症すると自然に治ることはなく、少しずつ進行し続けてしまう皮膚の疾患です。
何も対策をしなければ薄毛は進行し続け、1年後、3年後、5年後には、現在よりも薄毛が進行した状態になってしまいます。
しかし、適切な治療を行うことで、AGAの進行を遅らせること、発毛を促進することが可能です。
AGAは「抜け毛が気になってきた。」「最近、地肌が透けて見える感じがする。」といった変化に気づいた段階で早期に治療することが重要です。
AGA治療を行っている男性へのアンケート結果でも、6割以上の方が30代までにAGA治療を始めています。

- 自分は今AGAを発症しているのかどうか?
- それとも、別の原因で薄毛となっているのか?
- 今は薄毛ではないが、将来的に発症する可能性はあるのか?
これらが気になる方は、AGAを見分ける方法を解説している記事にて、まずは自分の症状を確認してください。
AGAの原因となる男性ホルモンとヘアサイクルの仕組み
AGAが発症するメカニズムとは?

AGAの主な原因は、男性ホルモンの一種であるテストステロンが、酵素「5αリダクターゼ」の働きによって「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変化し、このDHTが毛根に悪影響を及ぼすことです。
DHTが毛根の受容体に結びつくと、毛の成長を止め、抜け毛を引き起こします。
還元酵素が多く存在している生え際や頭頂部は、特にDHTが作用しやすく、毛髪の成長が妨げられて毛髪が抜け落ちてしまいます。

DHTが毛根に作用することで、ヘアサイクルの乱れが起こります。
ヘアサイクルとは、毛髪や体毛が成長し抜け落ちるまでの周期のことを指し、通常は成長初期→成長期→退行期→休止期という4つの期間を経て、毛が抜け落ちます。
AGAを発症すると、毛髪が生え始める「毛包」がヘアサイクルの休止期にとどまってしまい、全体のサイクルに乱れが生じて、毛髪が育つ成長期が早く終了してしまいます。
薄毛を招くホルモンバランスの乱れの7つの原因
日常生活において、過度なストレスを受けたり、不規則な生活習慣を繰り返していくことで徐々にホルモンバランスが乱れ、ヘアサイクルに影響を与えてしまいます。
- ストレスの蓄積 → 自律神経に支障を与え、頭皮へ必要な血流が滞る
- 運動不足 → 血行が悪くなり、頭皮に栄養や酸素が行き渡らなくなる
- 喫煙 → 頭皮の血管が収縮し、栄養が届かなくなる
- 過度な飲酒 → 体内でアルコールを分解する際に、髪を育てる栄養が奪われる
- 偏食 → 脂肪や動物性たんぱく質が毛穴をつまらせる、栄養不足などで頭皮への栄養を減らす
- 血管硬化 → 頭皮の毛細血管が硬くなり、頭皮への栄養や血流が滞留する
- 睡眠不足 → 睡眠中に行われる毛髪のダメージ修復が途絶える
これらが積み重なると、ヘアサイクルの異常を引き起こし、毛髪の成長期が早く終了してしまいます。
AGAを発症する原因の多くは、日常生活におけるホルモンバランスの乱れです。
早ければ20代のうちから、日常的に頭皮への栄養が滞り、AGAを発症する可能性が蓄積してしまいます。
遺伝によって薄毛になる割合は、全体の4分の1程度(※)で、体質が遺伝しても必ずしもAGAを発症するわけではありません。
しかし、家族のなかに薄毛の方がいる場合は、いない方に比べてAGAを発症する可能性が高くなります。
親族に薄毛の方がいるという人は、特にストレスや生活習慣の乱れに注意しながら生活を送ることが大切です。
AGAの進行を対策するために、過度なストレスを受けない工夫や、日々の生活習慣を整えることはもちろん大切です。
ですが、すでに毛髪が薄くなってきた実感がある場合、生活習慣だけを一時的に改善したところで、AGAの進行速度が上回り薄毛は食い止められません。
仕事や家庭環境など様々な出来事が当然日々起こり、社会で生活している以上はストレスを避けて生きることは難しいです。
そして、乱れた生活習慣を何の苦痛もなく急に正しく整えられる方も多くありません。
日々の生活習慣の改善と同時に医療の力で対策を施すことが、薄毛の早期対策・治療への着実な近道です。
AGAの進行パターンと脱毛タイプ別の特徴
AGAは、脱毛の起こり方や進み方に一定のパターンがあり、その違いによって対策の方法やタイミングも変わってきます。
ここでは、代表的な脱毛タイプであるM字型・O字型・U字型の違いと、若年層に見られるAGAの特徴について解説します。
M字・O字・U字の進行タイプと違い
AGAには大きく分けて3つの進行パターンがあり、それぞれ脱毛が始まる部位と広がり方に違いがあります。自分の進行タイプを理解することで、今後の対策がより効果的になります。
タイプ | 特徴 |
---|---|
M字型 | 生え際の両端が後退していくタイプ。額がM字型に広がって見えるのが特徴。若い男性にも多く見られる。 |
O字型 | 頭頂部から脱毛が進行するタイプ。つむじ周辺のボリュームが徐々に減っていく。 |
U字型 | M字型とO字型の両方が進行し、前頭部から頭頂部にかけて全体的に薄くなる。進行が早い傾向がある。 |
これらの進行パターンは、生活習慣や体質によって個人差がありますが、早い段階で自分のタイプを把握しておくと、適切な治療やケアにつなげやすくなります。
若年性AGAの見極めと注意点
20代〜30代前半で髪の量や生え際の形に変化が見られる場合は、若年性AGAの可能性があります。通常より早い時期に発症するため、気づかずに進行を許してしまうケースも少なくありません。
- 髪が細く、柔らかくなってきた
- シャンプー時や朝のセット時に抜け毛が多くなった
- 生え際が左右非対称に後退し始めた
- 頭頂部の地肌が見えやすくなった
これらの兆候が見られる場合は、早めに専門クリニックで診断を受けることが推奨されます。若年性AGAは進行が早いため、治療の開始時期が効果に大きく影響します。「まだ若いから大丈夫」と油断せず、自分の髪の状態に敏感になることが、将来の脱毛予防につながります。
自分できるAGA対策とその限界
AGAは日常のセルフケアや生活習慣の見直しも症状の進行を遅らせるうえで重要な要素です。
しかし、根本改善が期待できるのは医療機関での治療のみです。
ここでは、食事や睡眠、ストレス管理、市販のアイテムの活用法、血行を促す運動習慣について紹介しつつ、自己流の対策ではいけない理由を解説します。
生活習慣の見直しと市販アイテムの活用法
AGAの進行を抑えるには、生活習慣の改善と市販アイテムの適切な活用が大切です。以下の3つの視点から整理してみましょう。
- 栄養補給:たんぱく質・ビタミンE・亜鉛・鉄分を含む食材(青魚・卵・ナッツ・海藻など)をバランスよく摂取
- 良質な睡眠:成長ホルモンの分泌が活発な22時〜2時を中心に、十分な睡眠をとる
- ストレス対策:軽い運動や趣味の時間を持ち、ホルモンバランスの乱れを予防
- 育毛剤:ミノキシジル配合の商品を継続使用。頭皮マッサージと併用すると浸透力アップ
- シャンプー:アミノ酸系やスカルプケア用の低刺激タイプを選び、頭皮への負担を軽減
- 有酸素運動:ウォーキングや軽いジョギングを週2〜3回程度取り入れる
- ストレッチ:肩や首を中心としたストレッチで頭部の血流を改善
- 入浴:入浴や半身浴で体を温め、全身の巡りを良くする
- 継続がカギ:運動が苦手な方は入浴やストレッチから始めて無理なく習慣化
これらの行動は継続がカギなので、無理なく習慣化していきましょう。
自己流のAGA対策の限界
AGA対策の方法としては、大きく分けて「自分で薄毛対策をする」「クリニックで薄毛治療をする」の2択です。
ですが、市販の育毛剤や育毛シャンプーで薄毛の治療はできません。
毛髪は毛根を包んでいる組織「毛包」から生え始め細胞分裂をしながら成長しますが、毛髪を育てる組織は頭皮の中にあり、頭皮の外側からのアプローチでは影響を受けられないためです。
- 市販の育毛剤、発毛剤、養毛剤
- 育毛シャンプーや育毛ローション
- 育毛サプリメント
- 育毛ブラシ
上記のような育毛グッズは、あくまでも一時的に頭皮環境を整えたり、髪に栄養のある成分を摂取することや頭皮の血行を良くすることが目的で、発毛効果を促す治療法として認定されていません。
また、育毛サロンで行うヘッドスパやマッサージ、頭皮洗浄も同様に、頭皮環境を整える手段の一つに過ぎません。
AGAの治療方法とは?治療薬・費用・期間を徹底解説
AGAは進行性の症状であるため、症状を改善するにはセルフケアだけでなく、医療機関での適切な治療が必要です。
ここでは、内服薬・外用薬・メソセラピーなどの治療法、治療効果が出るまでの期間や費用相場、クリニック選びのポイントを解説します。
内服薬・外用薬・メソセラピーなどの治療法
AGAの治療には、主に内服薬・外用薬・注入療法(メソセラピー)が用いられます。
内服薬は、DHTの生成を抑える「フィナステリド」や「デュタステリド」が代表的で、抜け毛の進行を防ぎます。
外用薬では、血流促進と発毛促進を目的とした「ミノキシジル」が一般的に使われます。
メソセラピーは有効成分を頭皮に直接注入する治療法で、即効性や浸透力が高い点が特徴です。ただし自由診療のため費用は高めです。
どの治療にもメリットと注意点があるため、医師と相談しながら進めることが大切です。
治療の効果が出るまでの期間と費用相場
AGA治療の効果はすぐには出ませんが、3〜6ヶ月で抜け毛の減少や髪の変化を感じ始めるケースが多く、6ヶ月〜1年で発毛実感が得られる場合があります。
治療法 | 月額の目安費用 |
---|---|
フィナステリド内服薬 | 約4,000〜8,000円 |
デュタステリド内服薬 | 約6,000〜10,000円 |
ミノキシジル外用薬 | 約5,000〜8,000円 |
メソセラピー | 1回あたり15,000〜50,000円程度 |
すべて自由診療のため、クリニックによって費用差があります。治療期間と予算を見積もり、継続可能なプランを選びましょう。
AGAクリニックの選び方と通院のポイント
AGA治療を成功させるには、信頼できるクリニック選びが欠かせません。
- AGA専門で治療実績が豊富
- 料金体系がわかりやすく明示されている
- オンライン診療・土日対応がある
- カウンセリングで強引な勧誘がない
特に初回カウンセリング時の対応は、信頼性を見極める重要な判断材料になります。複数のクリニックを比較する姿勢も大切です。
AGAの根本的な薄毛の改善効果を得られる方法は、医療機関による薄毛治療のみです。
市販品やサロンでのケアは、あくまで頭皮環境のサポートに留まり、AGAの進行を止めることや発毛を促す直接的な治療効果は期待できません。
本気でAGAを改善したいのであれば、専門のクリニックを受診し、医師の診断に基づいた適切な治療を受けましょう。