性機能不全症

Sexual Dysfunctions

性機能不全症 (Sexual Dysfunctions)とは

性機能不全症 (Sexual Dysfunctions) とは、性的活動における問題が持続的に続き、性的満足や人間関係に支障をきたす一群の疾患です。これらの障害は、性的欲求、興奮、オルガスム、または性的活動に伴う痛みに関連しています。性機能不全症は身体的要因、心理的要因、またはそれらが複合的に関係して発生します。

性機能不全症は一時的な問題ではなく、6か月以上継続し、個人またはパートナーとの関係に苦痛や困難を引き起こしている場合に診断されます。

性機能不全症の主な種類と症状

  • 性的関心・性欲減退症(Female Sexual Interest/Arousal Disorder、Male Hypoactive Sexual Desire Disorder)
    • 性的な欲求や関心が低下する、または消失する状態。
    • 女性の場合:性的刺激への興奮が起こらず、性欲低下や性的快感の欠如が見られます。
    • 男性の場合:性的な空想や欲求が減少し、パートナーとの性的活動への関心が薄れる。
  • 勃起障害(Erectile Disorder)
    • 男性において、性的活動を十分に行うための勃起が得られない、または維持できない状態。
  • 早漏(Premature Ejaculation)
    • 男性が望むよりも早い段階で射精が起こる状態。持続的または反復的に発生します。
  • 遅漏(Delayed Ejaculation)
    • 男性において、性的刺激を受けても射精が遅れる、または射精ができない状態。
  • オルガスム障害(Female Orgasmic Disorder)
    • 女性において、性的刺激にもかかわらず、オルガスムに達しない、またはその強度が著しく低い状態。
  • 性器疼痛症/挿入障害(Genito-Pelvic Pain/Penetration Disorder)
    • 性的活動中に痛みを感じる、あるいは膣の収縮が強く、挿入が困難になる状態。
    • 主に女性に見られますが、まれに男性でも同様の痛みが生じることがあります。

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有病率と発症要因

  • 有病率:性機能不全症は性別や年齢を問わず広く見られますが、その程度や種類は個人差があります。
    • 女性:性的関心・性欲減退症は女性の40%程度が一生のうちに経験するとされています。
    • 男性:勃起障害は40歳以上の男性の約30%が経験する可能性があります。
  • 発症要因:
    • 身体的要因:糖尿病、高血圧、心疾患などの慢性疾患、ホルモンバランスの異常、薬物やアルコールの乱用。
    • 心理的要因:ストレス、不安、うつ病、性的トラウマや過去の負の経験。
    • 社会的・関係的要因:パートナー間の関係性の問題やコミュニケーション不足。

性機能不全症の治療方法

  • 身体的治療:
    • ホルモン療法:テストステロン補充療法やエストロゲン療法が行われる場合があります。
    • 勃起不全治療薬:バイアグラやシアリスなどのPDE5阻害薬が用いられます。
    • 局所治療:性器疼痛症に対しては局所麻酔薬や潤滑剤が使用されることがあります。
  • 心理療法:
    • 性行動療法:不安を軽減し、性的機能を向上させるためのトレーニングや指導。
    • 認知行動療法(CBT):否定的な思考パターンを修正し、性に対する恐怖や不安を緩和。
    • カウンセリング:パートナーとのコミュニケーションを改善。
  • ライフスタイルの改善:
    • 適度な運動や健康的な食生活の維持。
    • 禁煙や節酒。
    • ストレス管理やリラクゼーション法の実践。

性機能不全症と日常生活

性機能不全症は、患者自身やパートナーの心理的負担を増大させる可能性があります。しかし、正しい理解と適切な治療によって改善が可能です。

  • パートナーの理解:問題を共有し、互いにサポートする姿勢が重要です。
  • 自己管理:生活習慣を見直し、健康的なライフスタイルを維持することで、症状改善が期待できます。

まとめ

性機能不全症は、身体的・心理的・社会的要因が複雑に絡み合って発症しますが、専門的な治療とサポートによって改善が可能です。「性的な悩みがある」と感じたら、専門医に相談することが重要です。性生活の質の向上は、全体的な幸福感にも繋がります。

Supervising

監修医師

精神科医 樺沢 紫苑

Medi Face監修医師 YouTubeで精神医学を解説

札幌医科大学医学部卒。2004年より米国シカゴのイリノイ大学精神科に3年間留学し、うつ病、自殺についての研究に従事。「精神医学の知識、情報の普及によるメンタル疾患の予防」をビジョンとし、YouTube・メルマガなど累計100万人に情報発信をしている。著書「学びを結果に変えるアウトプット大全」をはじめに51冊、累計発行部数260万部。

President Doctor

代表医師

近澤 徹

Medi Face代表医師、精神科医、産業医

北海道大学医学部を卒業後、慶應義塾大学病院で研修を経て、名古屋市立大学病院の客員研究員として臨床と研究に従事。医師であり経営者として、医療とテクノロジーを融合させた次世代ヘルスケアを推進中。在学中に創業したMedi Face社では、オンライン診療システム「Mente」を開発し、全国の患者への診療サービスを提供。また、50社以上の企業にAIドクターを導入し、自身も産業医として社員のメンタルケアを日々支援している。とくに、「Z世代」のメンタルケアや人的資本をテーマにしたセミナーや企業講演を多数行い、多くの企業や若者から高い支持を得ている。さらに、東京を中心に、北海道から九州、海外では韓国にまでクリニックを展開し、医療サービスの提供エリアをオンライン・オフライン共に拡大中である。